幕末異聞ー参ー
「お待ちしていたした。坂本殿」
左を行って四つ目の部屋。
確かにそこに桂小五郎はいた。
「大事な話があると文に書いてあったが、一体なんだというのだ?わざわざ薩摩から飛んでくるということはただ事ではあるまい」
部屋の中に用意された膳の前に座り、桂と対峙すると、坂本は挨拶もせず本題に入った。
「幕府が来年長州征伐を再開するつもりぜよ」
「!?」
桂の箸を持った手が止まり、坂本を睨んだ。
「どういうことだ!?征伐はこの間終結したばかりであろう!?」
「おまんの国の奇兵隊ちゅう反幕府勢力が抵抗したんじゃ!
それが気に入らなかった家茂公がもう一度、今度こそ長州を潰すつもりで来るぜよ!」
順調にいきつつあった薩摩と長州の同盟話をめちゃくちゃにされかけている坂本は苛立ちを隠せないでいた。
「…高杉晋作か」
一方、桂の方は頭に浮かんだ人物がいるようで表情が曇る。
「高杉晋作?」
聞いたことだけはあるが、実際にその人物を知らない坂本は桂に説明を求めた。