幕末異聞ー参ー
「俺の旧友で奇兵隊の長だ。長州の反幕府派の中でも過激派だ」
旧友でありながら懐かしむでもなく、厄介そうに言う桂を坂本は至極不思議に思った。
「過激だろうがなんじゃろうがわしらの仲間に変わりなかろう?なしてそげん嫌そうなんじゃ?」
「仲間!?笑わせるな!あんた言っただろう!奇兵隊のせいでまた長州征伐が始まろうとしてると。その元凶を仲間というのか!?」
桂は呑気な坂本の口調に顔を赤くして激怒する。もう今までの過ちは繰り返したくないのだ。
「仲間にしてしまえばいいぜよ」
「…は?」
「同盟の仲間に入れ込んでしまえばいいぜよ」
坂本の訳のわからない言葉に桂の思考が停止する。
「桂さんはいつもそんな穏健派だの過激派だの言うちょるが目的はどっちも一緒じゃろ?幕府を解体して新しい世を作る。
目指すところが同じなら協力したらええんじゃ!」
「ぶ…部外者が簡単に言うな!」
再び桂の激が飛ぶ。
「わしらがやっちゃる!」
「…」
「正直言うと、もう次の征伐は避けられん。
だからわしらができることは幕府以上の力をつけて負けないことぜよ。その為には奇兵隊を含めた薩摩と長州の同盟が必須なんじゃ」
「…」
「桂さん!!」
坂本は四つん這いになって桂に詰め寄る。
「…奇兵隊の話は後だ。まずはこの長州の地で西郷隆盛と会合すると約束しよう…」
「桂さん!!!」
顔はそらしたままごもごもとはっきりしない物言いだが、確実に坂本に聞こえるように桂は言った。
坂本に根負けしたのだ。