幕末異聞ー参ー
「皆ちくっと待っとおせ!きっとどうしても行かなきゃならん用事が「我らとの会合は重要じゃないとでも言うのか!」
黙って坂本を睨みつけていた桂もついに口を開いた。
「まあまあ落ち着くぜよ」
「そ…そうじゃ桂さん。西郷さんは桂さんに謝っといてくれとわしに言ったぜよ」
(本当か?!)
(いや、嘘じゃ)
坂本と中岡は視線で会話をしながらどうにか桂を落ち着かせようと必死に嘘の口実を作る。
「謝って済む問題ではない!約束を破ったということはやはり薩摩は長州を下に見ているということだろう!」
二人の努力も虚しく、桂の怒りは収まるところを知らない。
そして桂は坂本と中岡が一番恐れていた言葉を遂に口にしてしまった。
「交渉は決裂だ!薩摩なんか信用できん!!」
脇に置いていた刀をおもむろに掴むと、桂は勢いよく立ち上がった。
「待つんじゃ桂さん!薩摩から使者を出して謝罪を申し出るようにするき、交渉決裂だけは勘弁してほしいぜよ!」
「…」
「桂さん!」
道を阻み決死で自分を止めようとする二人に桂は足を止めた。
「では条件を出そう」
「条件?」
桂は深い深いため息をつき、立ちはだかる二人を睨んだ。