⁂ダイヤモンド⁂
3枚目の名刺は3年目を迎えた時にまた新しいのに変えた。
真っ黒い名刺に真っ白な百合の花が大きく書かれている。
「今日で3年目かおめでとう」
そう言われ、新しくした名刺に“今年もお祝いしてくれてありがとう”そう書いていたのを渡すと、
「今年は前もって書いておいてくれたの?」なんて嬉しそうに見つめていた。
4枚目の名刺
“いつもお仕事お疲れ様です、疲れているのにいつもありがとう。これからも宜しくね!お酒はほどほどにね”
その名刺は真っ白で、男の子と女の子が寄り添っているものだった。
「おっ!今までは真っ黒だったのにやっぱり未来は白って感じがするな」
そう言いながら、嬉しそうにメッセージを読むと「今年は長い♪」なんて笑顔でスーツのポケットにしまっていた。
そして、今年のあたしの5年目を迎え作りなおした5枚目の名刺。
去年と同じ真っ白を選んだのは、秋山さんがあたしは白って感じがすると言ってくれたから、その言葉が本当は凄く嬉しくて迷わず選んだ色……
そして、その真っ白な名刺の中に真っ赤なヒカンバナが咲いている。
「未来はどうしてこの花を選んだの?」
「んっ……?」
あたしは、ヒカンバナの花言葉を知っていた。
悲しい思い出
あきらめ
独立
なんだか、あたしにピッタリのような気がした。
決して優しくなさそうな花……
だけどどこか凛としているところが好きで見た瞬間に決めたこのでデザイン。
質問の答えに黙っていると、静かに隣で秋山さんは口を開いた。