ご主人様はお医者様


先生は私をジッと見つめながら、ゆっくりと話し始めた。




「森教授にはね、学生時代からお世話になっていて……昔、俺はさくらの家庭教師をしていんだ……」




大学へ呼び戻される話が来て、両親も同席の食事会に呼ばれた。何も知らずに行ってみるとお見合いの席だったそうだ。




「断ったさ、でも断りきれなかった。今日もさくらが医局に来てて婚約は出来ないって伝えた」




今日――?そっか、私が見かけたのはその時だ。



もしかして、さくらさんは昔から先生のことが好きだったりしたのかな……?




「確かに、さくらと結婚するのは教授への近道だろうね。森教授の後ろ盾があればほぼ確実。
でも、俺はそんなものには頼らない。実力で上り詰めるさ」




そう言った先生の顔は自信に満ち溢れていて、この人なら本当に成し遂げられるんじゃないかって思わせる何かがあった。



< 131 / 304 >

この作品をシェア

pagetop