ネコ専務シリーズ
「君、名前は何ていうの?」

「え?鬼塚東(おにづか・あずま)
 だけど?」

「鬼塚あずま?あずまって東のこと?」

「そうだよ。お姉さんは何て名前?」

このとき、ネコガールの頭にぴんと閃く
ものがあった!
ネコガールは、少年の質問を無視して、
興奮して言った。

「ねえ、君、もしかしてお姉さんいな
 い?お姉さん、東京でモデルして
 ない?」

「えっ!何で知ってんの?姉貴の知り
 合い?」

少年は目を見開いた。

「お姉さんって、鬼塚南(おにずか・
 なん)っていうでしょ?
 南は私の友達よ。へー、こんなこと
 ってあるのねー!弟さんだったんだー。
 前に南、言ってたもの。5人きょう
 だいで、東西南北と中央って名前だっ
 てね。だから君を見たとき、何か変な
 感じしたんだー」

ネコガールの「電気」の正体は、たち
まち分かってしまった。
ネコガールの無意識はあのとき、少年
から自分の友達を連想させるものを感知
して、表層意識に教えていたのである。


「ごめん、ゲームセンターはもういいわ。
 今の驚きで、一気に気が晴れちゃった」

ネコガールは少年を、彼が望むところで
車から降ろした。
このすごい偶然を記念して、一応少年と
ケータイ番号とメールアドレスを教え
あっておく。

少年に見送られて赤い愛車を発進させ、
東京への帰路を急ぐネコガールは、

「おかしいと思ったわよ。もしかして
 これが恋?なんて勘違いしちゃった
 じゃないの」

とぽつりとつぶやき、ハンドルを右に
切ってカーブを曲がったのであった。

            おしまい





 
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