ネコ専務シリーズ
ネコ専務は試合までの間に、ネコパンチ
とネコキック以外のいくつかの技も学び、
ついに試合の当日を迎えた。

しかし考えてみたら、ネコ専務はネコを
殴ったり、蹴ったりするのは嫌いである。
また、自分が殴られたり、蹴ったりされ
るのはもっとゴメンだ。それになんだか
面倒くさくなってきた。

というわけで、当日ながら試合は辞退
して帰ろうかと思ったのだが、それでは
自分に期待して今日まで練習に付き合っ
てくれたネコ師範代に悪いので、とりあ
えず今日の試合には出て、それが終わっ
たら今日限りでネコ格闘技は辞めようと
決めたのだった。


ネコ専務は「出るからには勝とう」と
思った。しかも、自分が痛くないように、
「無傷で勝とう」と思ったのだった。



「東、ネコ電気屋!」

「西、ネコ専務!」

試合が始まった。結果はネコ専務の圧勝
であった。次の試合も、その次の試合も
ネコ専務が圧勝した。

そして気づいたら、ネコ専務は優勝して
いたのだった!


ネコ専務は表彰台に上がり、金メダルを
もらった。そして、さらに大きな大会へ
の出場権を手に入れたのだが、ネコ専務
はそれを2位のネコに譲り、初めの決意
どおり、ネコ格闘技をすっぱり辞めて
しまった。

後日、ネコ専務はネコガールに言った
ものである。

「やはり苦手なものには手を出すもん
 じゃないな。私はゴロゴロしてる
 のが向いてるよ」

              おしまい
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