月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「あ、じゃあ彼氏のほうこっちの用紙に住所と名前お願いしますね。彼女も」

 そう言っておばさんは用紙とボールペンを冬海に差し出す。あたしは生徒手帳を差し出して、同じ用紙に住所と名前を書き込んだ。

 観光協会の前にタクシーが1台来るそうで、それまで数分待っててと言われた。2人でお礼を言い、観光マップを貰って外に出る。

「びっくりした。再発行とか言うから」

「へへ。難しい言葉並べたら乗り切れるかと思って」

「身分証になる生徒手帳紛失って、俺すごい悪そうだなーよくあのおばさん疑わなかったね」

「だよね、でもこういうのって何かあった時の為のだから、どこかと連絡が取れれば良いんだよ。あたし家の住所書いたし」

 他県に2人だけで旅に出て、気持ちが大きくなったのかもしれない。あたし多分ドヤ顔してる。神経が太いかもしれない。

「ドヤ顔してる」

 ほらね。

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