月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 乗車の列に並んでいたけれど、もしかして学校からかけているのかと思い、列から離れた。

「あ、電車待ってた? すぐ来るよねごめん」

「だだ大丈夫だよ。次もすぐ来るし、そっちももうすぐじゃない?」

 あたしは慌てていて、噛みまくって、そして正面に居た背広姿のおじさんにぶつかりそうになった。

 くす、と少し笑った声が電話口から聞こえる。

「センパイ、前よく見て。危ないよ」

「……え?」


 後ろ、階段の方とぐるっと見渡し、見つけた。

 冬海を。

 向かいのホームに冬海がいた。 


「冬海、くん……」

「見つかっちゃった」


 こっちを見て、微笑んでいる。掌だけでチョコチョコと手を振っている。あたしも振り返した。

「センパイ今から帰るの?」

「うん、冬海くんも?」

「俺は今からバイト。まぁ家もこっち側の電車だけどね」

 そっか、反対側なんだね。


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