月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

***

「大丈夫ですか? もう熱は」

「ほんっと悪かったね。急がせたのに」

 いつもの3人組で帰ろうとしていたあたし達は、偶然に中尾先輩と遭遇。そして数日前の「プリント事件」を知らない先輩は、あたしに謝っている。

 中尾先輩が悪いんじゃないんだけど。謝っている理由は会議が無くなった事で、プリントの話じゃない。無くなったプリントは、あたしが持って帰った事にしておいた。

 マミ先輩が捨てたって、言えるわけない。梓あたりは言うんだろうけどなぁ。

 あの日、熱を出して早退した中尾先輩は結局2日間、学校を休んだそうだ。

「じゃあ、明日会議前に届けに行きます」

「あ、わざわざいいよ。休み時間にでも生徒会室に……」

「いいえ、誰かに間違って捨てられても困るので」

「……お、おお。そっか」

 マミ先輩がまたヘンな事をしないとも限らないし。

 中尾先輩は、用件が済むと「ごめんね呼び止めて、じゃあね」といつものように颯爽と去っていった。

 その爽やかさに溜息が出る3人。

「……爽やかくん、どうするよ。晃」

 梓に言われた。あたしは、梓を見て口を尖らせた。

「どうって。先輩は卒業まで好きになってくれたらいいとか……」

 と言った瞬間、梓と美由樹が同時に違う言葉をあたしに降らす。

「え! なにそれ! 会長!?」

「あたしも知らないなにそれなにそれー!」

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