月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 他の生徒も下校している時間帯。あたし達はなるべく大きな声にならないように話していた。

「言ったかぁ会長」梓は遠い目をしていた。

「晃と会長の噂がコクる後押しになったのかもねぇ。あたしはそう思うけど」

 美由樹が言う。

「そんで?」梓があたしの顔をのぞき込んで言った。

「考えるの? どうすんの?」

「ええ、あー……どうしよう」

 道路沿いの木々がざわざわ揺れ、あたしの心もざわつく。行き交う車は途切れなくて、ドライバーからは制服を着ているあたし達はどんな生徒に見えているのだろうか。

「でも、すぐ返事ちょうだいって言われたわけじゃないし、考える事は考えたいし」

 歩く道の先を見ながらあたしは答える。正直な気持ちだった。

「こんなあたしでも好きだって言ってくれて、それは嬉しいもん」

 ずっと一生懸命やってたのを見てた、好きなんだ。そう言われて、しかも中尾先輩に。嫌なわけなくて、嬉しかった。
 生徒会室で2人きり。あの息が詰まりそうな緊張の中、告白された事を思い出すと頬が熱くなる。


「ちゃんと考えるんだね。うん、賛成」

「だね。晃が誰を好きになろうが、幸せなんだったらいいさ」

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