ダブルベッド

「木下さん、同い年なんですね。じゃあ、仲良くしてくださいね」

 うん、仲良くなりたい。

 だから辞めるのをやめた。

 社会人としては、少々不謹慎かもしれない。

 だけどモチベーションなんて人それぞれじゃないか。

 そう開き直って、辞表をシュレッダーに突っ込んだ。

 この一月で、随分仲良くなれたと思う。

 呼び方が木下さんから木下くんになって、敬語からタメ語になって。

 昨夜は家にまでお邪魔した。

 なのに……。

 まさか、まさかあの沢田に先を越されるとは。

 少なくとも沢田よりもイイ男であると思っている充は、再び退職願望が沸きあがらせる。

 その時。

「木下ぁ!」

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