ダブルベッド
課長の怒声で我に帰る。
みんなの視線が充に注目していた。
「木下! 聞いてんのか?」
「は、はい」
全く聞いていなかった。
「じゃあさっさと報告しろ」
「え?」
何を?
と聞ける雰囲気ではない。
充が固まっていると、ハゲかけの課長は、頭のてっぺんを見せながら大きくため息をついた。
「次、沢田」
「はい。先週は新規2件、原稿はすでに池田さんのほうに提出済みで……」
のほほんという表現がピッタリである沢田の口調。
しかしちゃっかり業績がある。
ああ、俺ってほんとに仕事できないんだな。
充はそう思いながら、桃香と沢田を見た。
自分が情けなくなった。