駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

沖田を間に挟み、矢央と山崎は睨み合った。

バチバチと火花を散らす二人を見て沖田は密かに思う。


(誰かさんと、そっくりな喧嘩の仕方だな〜)


「と、そろそろその辺にして―」

「原因作ったんは、あんたはんですけどね」

「あはは、何か言いましたか?」

「いいえ」


場をかき乱すのは好きだが、それを修復するのは苦手、というより面倒な沖田。

なので飽きると適当に収めようとするので、周りが更に疲れてしまう。


「それで、何しに来たんです?」

沖田に乱されないのは、今や新撰組では矢央一人かもしれない。

溜め息をつき机に向かう山崎は恨めしそうに矢央を見やり、椅子に腰掛けると沖田を見上げた。



「ああ、ちょっと忠告にね」

「忠告?」

「お二人が睨む通り、彼には気を付けた方が良さそうですよ。 私が通りかからなければ、お話を聞かれていたかもしれない」


沖田がすーっと眼を細めると、代わりに山崎が眼を見開く。


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