駆け抜けた少女ー二幕ー【完】




十二月十一日、新選組の上司に当たる会津より新選組は伏見奉行所に移るように指令が下った。


十月に大政奉還がなされ、徳川の時代は終わりを迎えたが、徳川の権力が無くなった訳ではく大政奉還の後も自らが政権を握ろうと画策していた。


ところがそれを察した薩長も黙って見ているだけではなかった。


十二月九日、王政復古の大号令をかけ、これにより徳川の権力は一気に弱くなっていく。



そして十二月十六日、新選組は伏見奉行所へと三度目の引っ越しをした。





「やっぱり引っ越しってしんどい。いつも急だから困るよねー…」

「確かこれで三度目でしたっけ?」



市村と共に土方に頼まれた荷物の整理をしていると、ふと懐かしい物を見つけてニヤリと微笑んだ。


「…え、ああうん、そうだよ。そんなことより、市村君、良いもの見つけちゃった!」

「良いもの?」


矢央の手にある一冊の冊子を見詰め、何か分からず首を傾げる。

しかしそれは土方の荷物から出てきたものだから、どうしても悪い予感しかしない。




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