執事と共に聖夜を。
「温まるように、ジンジャーティーでもお入れしますか」

「ううん平気。でも、もう少しこうしていて」


春樹は、より強く恵理夜の両手を包み込んだ。


「いつもは、春樹のほうが冷たいのにね」

「心が温かいから、でしょうか」

「私が冷たいって言うのっ」

「そんなとんでもない」


と、かすかに笑う春樹の言葉が本当かどうか恵理夜にはわからない。

彼には対しては、相変わらず勘は働くことはなかった。


「ベットに、湯たんぽを入れておきましょう」


手は、春樹の体温を奪いかなり回復してきた。

春樹は、手を離し代わりに程よく冷めた紅茶のカップを握らせた。


「手と足とで、2つほどご用意しますか」

「1つで平気」

「そうですか」

「手は、貴方が握っていて」


春樹は、肩をすくめた。


「貴女が望むなら」
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