執事と共に聖夜を。
――自室に入ると、すでに暖房が入っており、その熱に指先と足先がピリピリと反応した。
「お茶が、入っていますよ」
部屋に入ると、必ず春樹はお茶を入れてくれる。
「熱っ」
手を温めようとカップを包み込んだ瞬間、持てないほどにカップが熱を持っているのを感じた。
「申し訳ありません、大丈夫ですか」
「平気」
お茶を下げようとカップを手にした春樹がまたも怪訝そうな顔をする。
「失礼、」
そう言って春樹は、恵理夜の両手を掴んだ。
恵理夜の小さな両手は、驚くほど冷え切っていた。
対して熱くもないカップも持てないほどに。
「体温調節、狂っちゃったみたいね」
「……薬の、影響でしょうか」
「多分」
先の貫通創を作ってしまった事件により、恵理夜の薬は少し変更されていた。
その薬に、体が順応していないらしい。