執事と共に聖夜を。
しかし、恵理夜は首を振った。


「どっちも、選べないわ」

「私もです」


自分をを試したのがわかって恵理夜は唇を尖らせた。


「もう、早くしてよ」


涙の止まったその顔を見てから、春樹はレコードの中身を確かめた。


「……?」


中に入っているのはレコードだけだった。


「何も、ありません。レコード以外」


恵理夜が調べても同じだった。


「……きっと、無くしたのね」


落胆を感じた。


「……残念、でしたね」

「ううん、いいの」


けれど恵理夜はにっこりと笑っていた。

清々しささえ感じているようだった。
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