執事と共に聖夜を。
「もう一度、聞きたいな。その曲」

「これで、聞いて見ましょうか」


恵理夜はにっこりと頷いた。


「では、そろそろ行きましょう」


春樹は出口の扉を開いた。

しかし恵理夜は首を振った。


「もう少しだけ、探し物をしたいの。先、行っててもらえる?」

「かしこまりました。」


春樹はレコードを携えて出口へ向かった。

そして、部屋を出る直前、


「温かいココアで、よろしかったですか?」


恵理夜の欲しいものを正確に言い当てられた。


「……えぇ、お願い」

「では、ピアノのあるお部屋でお待ちしております」


流石は優秀な執事だと笑った。
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