執事と共に聖夜を。
「ありがとう」


恵理夜は心から礼を言った。


「喜んで、いただけたら」


春樹は、恵理夜の涙を拭った。


「最高のクリスマスね」


止まらない涙をそのままに、笑った。


「……来年も、また」


春樹はそう静かに返した。


「来年は、祈りが届くかな」


思わず呟いてしまった。


「きっと」


春樹は何も聞かず、ただ、そう言った。

それが彼の祈りなんだろう。
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