新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
「ああ悪りぃ。ゴメン、そういう意味じゃ……」
俺の気が引けた、そのほんの僅かな隙を突いて純一郎が切り出した。
「でね、うちのバンドさぁ、ボーカルが声出なくなっちゃっ……」
「駄目ダメ駄目ダメ! 俺上がり症だし、人が沢山居る所も苦手だし」
以前から純一郎には「一緒にバンドをやらないか」と誘われていたのだ。
「頼むよぉ、リュウ上手かったじゃない。良かったよぉ、あのミスチル」
「そんな時間有るわけないだろ、お前らのバンドのオリジナルだって知らないのに……」
「化粧するからリュウだって解らないんだぜ? 気持ちいいぞ? 人前で歌うのは」
俺は考えた。自分は勉強漬けの毎日。確かにバンドで盛り上がって浮かれている純一郎を横目に、そんな彼を羨んだこともあった。
こんな毎日のストレスを発散出来たら、声を限りに吐き出せたら、どんなに気持ちいいかと。
「考えてるってことは脈ありってことだな。リュウが参加してくれるなら、この部屋も、もっと自由に使ってくれていいし」
そう言って提示された最後の条件は、更にその誘いを魅力的に飾り立てた。