新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
世界中を飛び回っている筈の博士が、日本に居るなど露程も考えていなかった俺たちは、心底ど肝を抜かれた。
「何でって言われても、私の研究所だしなぁ……フンッ、ちょと失礼」
博士はポケットからティッシュを目にも留まらぬ速さで取り出し、粘った感じのハナをかんだ。
「ああ、見てごらん、この白衣。これは私の特注品なんだ。ここにほら、ボックスティッシュが入れられるようになっている」
柔和で人の良さそうな笑顔を浮かべ、白衣を自慢する博士に、俺は抱き付きたい衝動をなんとか押さえていた。
「今日は大切な面接の日だからね、リオデジャネイロから昨日、とんぼ返りして来たんだ」
「ええっ? わざわざ我々の為にですか? 申し訳ありません」
シンが頭を下げるのを見守っていた俺は、腿に虫から刺されたような痛みを感じた。
「つっ、痛てっ! なにすんだ、シンっ!」
見るとシンが眉間にシワを寄せながら腿をツネって俺を見上げている。
「あああっ、これはどうもすみません。ご足労をお掛けいたしまして、ごめんなさい。原口博士は俺のヒーローなんでアガってしまって……」