宿題するから利用して

昼間より気温が穏やかになり過ごしやすいはずなのに気分が悪く、

職員室へ鍵を返しに行くことを口実に逃げようとしたのに、

指に引っ掛けたキーがペアリングに思えた俺が、

「コンコン、なあ俺田上さん……」と、自らタブーに触れてしまったと気づいたのと、

近藤洋平の強い瞳に射られたのは同時だった。



さりげなく腕に巻き付いている革紐のブレスレットさえセンスの良さを演出し、

なんだか見るだけで痛そうな部分に控えめに飾られているピアスさえ小意気に感じられ、

近藤洋平という生き物は黒髪から覗く瞳さえ操り丁寧に俺を試すから――……

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