宿題するから利用して

しかし、頑張って明朗さを真似て零した言葉さえお花畑の国を護る王子様には許せないらしく、

近藤洋平の感情豊かな涙袋が一瞬引き攣った。


「なに?、冗談?」

そうして彼はピアノの左側にある鍵盤を押した際に皮膚の奥に眠る骨の中心まで響く音色を無意識に操り、

愚かな俺の心いっぱいを真正面から咎めてくる。


狡いじゃないか。いつもはへらへらしている癖に恋人が知らない時に限って、やたら新たな二重人格を貫くのは卑怯でしかない。



……――あの時もだった。


『田上って――』

二人が付き合い出して数ヶ月、確か二年生の梅雨に行われた進路学年集会での出来事だ。

あの日のことを今でも俺ははっきりと覚えている。


『田上って手ですぐ――……』


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