宿題するから利用して
状況が掴めないものの大丈夫かと体を揺すると、
近藤洋平は薬を飲みたがらない子供のように甘えたな鳴き声を出すばかりで対処に困ってしまう。
膝を付けてジャージが汚れることも構わず、俺はライバルの様子を窺った。
「いたい、」
あまりに弱々しい悲壮な声色だったから、ついF組の生徒と別れ際の恋人ばりに熱視線を交わすも、
彼は駄々っ子みたいに唸るだけで、解決には繋がらなかった。
見た目とは異なるしっかりとした肩、普段の笑顔とは違う苦しそうに寄せられた眉、こういうギャップがある姿に女はときめくのだろうか。
「あ、気にしやんで。昨日筋違えたの忘れてただけ。平気」
ゆっくりと顔を上げた彼が相変わらず角なく笑いつつも骨盤の上の辺りを摩る仕草に、
「うっわ、ラブラブアピール、うざ」と、茶々をいれる名もなき生徒による言葉の意味が分かり、
頭の中には俺の大好きな田上結衣が浮かんだ。