宿題するから利用して

「はー? 違うしアホか、弟ん運動会で本気の綱引きしたら捻っただけです、兄の名誉だから」

いつだってクールに澄ましている癖に、近藤洋平は田上結衣を想い真っ赤な愛に顔を染める。

彼は結構な贅沢者だ。
だって、億万長者でも手にできない幸せを得ているのだから。

自分とは次元が違う世界に居る差が悔しくて、俺はバスケットボールを睨むしかできなかった。


「あやしい、なー? つっつん?」

囃し立てる生徒を前に、何も上手いこと言えなかった。

父兄として頑張ったのだと主張する彼氏は日焼けにより肌荒れしていることから、

本当に綱引きで筋を違えたと分かるのに、違うことを浮かべてしまう。

考えたくもないのに――……近藤洋平、二年半も俺が片思いをしている田上結衣に好かれている奴。

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