宿題するから利用して
「はー? 何それ、バカップルじゃん、あはは」と彼女が、
「普通よしよしするシーンだし」と彼氏が、再び二人だけのお喋りを始めた。
「えー、仮病の癖に」
「お前のせいで心が痛んでんだよ」
「元気なら練習しなよ、運動会とか高校最後じゃん。青春しやんと、あはは」
「じゃあここに居る田上さんもサボリじゃん、あはは」
「はー? わざわざ様子見に来てやったのに何なの、可哀相な結衣ちゃんだし、あほ」
憧れのお似合いカップルに甘い言葉などないのだが、非常に華やかな空気を生む不思議。
「田上さん暴言。俺のが可哀相じゃん、おーつかもそう思うだろ?」
目尻を持ち上げ悪戯に笑う近藤洋平、こいつがうざったかった。
人の会話を遮断させておきながら、コミュニケーションスキルがあるのだとばかりにこちらへ話を振る――その優れた人柄に腹が立つ。
「俺戻るよ」と、場を読まない発言をする自分の未熟さがむなしいばかりだが、
熱々なカップルから逃げたくて俺はカーテンをしめた。