宿題するから利用して

静まりかえった教室は無音だから恋心に喜ぶ鼓動さえ聞き取れそうで、

好きな女の子を前にときめく胸を抑えられない。


――やはり人間は凄い。
幸い目撃者や邪魔者は居ない今なら余裕で襲えるのに、

合意がない場合は、きちんと自制心を働かせ汚い感情を堪えられるのだから。

そもそも田上結衣を想えば近藤洋平の存在が自動的に頭へ浮かぶから無理な話だった。



得意な顔であの子の隣を陣取る自信たっぷりなあいつ。


ああ、髪の長いこの子を一年生の頃から好きで、もう高校三年生なのにまだ愛しいままな行き場のない恋心の終わらせ方が分からない。

いい加減、片思いは疲れたし田上結衣から卒業したい。


< 58 / 229 >

この作品をシェア

pagetop