有明先生と瑞穂さん
「うん大丈夫。口之津先生のおかげ」


布津は瑞穂の笑顔を見ると、今度はしゃがみこむ有明を見下ろし、小さな声で言った。


「さっきの小浜先生にも見られたし、ヤバくないスか?」

「つい慌てちゃって・・・。
でも変なこと口走ったりしてないから大丈夫・・・だと思うけど」

「有明先生もそういうトコあるんですね」


なぜか布津は弱みを握ったかのような勝ち誇った顔をして笑う。



「口之津先生も瑞穂さんも、今は痛くなくても後から痛みがくることがあるかもしれませんよー」

「あ、はい・・・」

口之津のいる方から保健医が声を掛けた。



治療の終わった口之津は肘に絆創膏をつけて布津の反対側の、瑞穂の隣にドカッと腰を下ろす。


「ったく!ドンくせーなぁ、晴は」

「ううっ」


しかしあの場に口之津がいなければ下手すれば大怪我をしていたかもしれない。


「あの・・・ほんとにありがとうございました」

「ん?ああ、たまたま俺がいてよかったな」


「ところであの・・・有馬さんは?」

「ああ、あとで話すからいい」

「え・・・そうですか・・・」


有馬がこのことを気に病まないはずがない。
心配して保健室まで着いて来てくれたならまだよかったが、今この場にいないということはすごく気にしているのかもしれない――。


(私がこんなドジじゃなかったら・・・)


心の中で自分を責めていると、隣で布津が真剣な目でじっと見ていることに気づいた。


「どうしたの・・・?そんな顔して」

「いや・・・お前さ・・・」

「う、うん」
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