有明先生と瑞穂さん
次の日ふっきれたような顔をした有馬が瑞穂にきちんと謝り、有馬の口から喧嘩の理由を直接人に言うことはないだろうからと瑞穂は深江にコッソリ説明した。

深江も瑞穂と同じようにニヤニヤしてそれを喜ぶ。

たまに教室に顔を見せる口之津の顔もニヤニヤしていたが、それを有馬がいつも通り暴力で追い出した。


その日有明の方からも建前上、小浜に騒動の理由を聞き出し、それが瑞穂にも伝えられる。


「それにしても、どうして『有明先生は生徒を好きにならない』なんてこと言ったんでしょうね」


むしろみんなにバラされると思っていたので、正直小浜のその発言にも驚いている。

二人の時に見せたあの性格・・・

間違いなく何もされないままだとは思わないので、裏があるのではないかと不安になる。


「有馬さんが『有明先生はアンタなんか相手にしてない』って言われてカッとなったって言ってたよ。
俺達をかばうつもりでもなかったみたいだけど・・・。
有馬さんの剣幕も怖かったみたいで話してるうちに泣き出してしまったし、特にこの件に関して問題はないんじゃないかな」


(泣いてた、ね・・・)



瑞穂が話していないから、有明は小浜の本性を知らない。

だから仕方のないことなのだが有明の答えにモヤモヤする。


だが、有馬や深江とは以前からお互い嫌いあっていた小浜だ。


特にこれ以上不自然な点もないし、今回の件には本当にこれ以上何もないのかもしれない――。




事件は数日たてばすっかり話題にも上らなくなり、いつもの日常が戻った。





瑞穂はそう思っていた。
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