有明先生と瑞穂さん
「ほら、有馬が替われって」

うつむく瑞穂に携帯を差し出す。


「もしもし、有馬さん・・・あの」

『晴子大丈夫~~?!
布津から聞いたよー。災難だったね!
ウチがいたらぶっ飛ばしてやんのにー!』

一人は布津がぶっ飛ばしてくれたが、その言葉が嬉しい。

「それでね、下駄の鼻緒が・・・」

『それも聞いたー。
足大丈夫なの?!
その下駄もうボロだし捨てちゃっていいからさ!
気にしないで。
むしろそんなの履かせてごめんね。
ウチに置いてる荷物は服と靴だけなんでしょ?
それは今度取りにくればいいから、今日はもうそのまま帰りなよ。
こっちに戻ってきたら危ないし』

有馬の優しい言葉にだんだん目頭が熱くなるのを感じた。

「うぶっ・・・あり、ありまさぁ~~~~うわあああ」

『ええ?!ちょっと何泣いてんの晴子』

驚きながらも遠くで笑う声。
布津も隣で驚き慌てていた。

泣いて言葉にならない瑞穂に『布津に替わって』と言われ、しゃくりあげながら携帯を返す。


さっきまで泣く気なんてなかったのに、一度溢れた涙が止まらない。



『瑞穂、緊張の糸がとけたみたい。
結構怖かったのかもね。
アンタちゃんと家まで送り届けなさいよ』

「お、おうわかった・・・。
ワリーな。
深江にも謝ってて」


電話を切って泣きじゃくる瑞穂を見ると、さてどうしたものかと布津はひとつ息をついた。
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