有明先生と瑞穂さん
落ちそうなコントローラーをそっと取り上げると瑞穂はうっすらと目を開け、また閉じた。


その顔を間近で、瞬きもせずにじっと見つめる。



(さっきはありがとな、瑞穂)


起こさないように、心の中で。


(あの言葉が本当なのか気を遣ったのかはわかんねーけど)

(でもすげー嬉しかった)


(正直、自惚れるぐらい)



(俺の方・・・選んでくれたんじゃないかって)



心の声は届かない。


こんなに近くにいるのに

こんなに焦がれているのに




(一緒にいられるだけで満足だとか)

(俺の気持ちに気づいてもらえるだけでいいとか)


(口ばっかりでさ、どんどん貪欲になっていくんだ)



(本当はお前が欲しいよ、瑞穂)





(有明にも誰にも譲る気はねーんだ)




(俺はお前が思ってる程真っ直ぐでもないし、イイ奴なんかじゃないんだ)



(ごめんな)




膝に置かれた手をそっと握ると、瑞穂が目を閉じたまま少しだけ頭を浮かせた。



(・・・あんなこと言っておきながら寝ぼけたお前にこんなことしようとしてるなんて、最低だな)
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