一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》
あたしの体はついに悲鳴を上げて、急速に壊れ始めてる。それが理由で入院する事になった。酸素ボンベも手放せない程に…。
豊さんはお医者さんと何かを話しているみたい。何の話かは、だいたい予想出来た。
あたしの体の事は、あたしが一番わかってる。あたしはもう数日ももたない。明日か…明後日なのか…。
余命よりも長く生きてるんだもん。遅かれ早かれ、あたしは……。
「大丈夫だ…。夢月は大丈夫…。」
喜一お兄ちゃんは自分に言い聞かせるように何度も何度も言う。
「…喜一…お兄…ちゃん」
喋るのも辛い。頭は痛いし吐き気もする。大量に吐血だってした。
残り少ない命の警報。
蓮はお風呂に家に帰る以外はあたしの傍にいるのに、今日は何故かいない。これは好都合だ。
この世を近いうちに旅立つあたしが、蓮に残せるモノ。
もう自分では歩く事は出来ない。だから……。
「…喜一…お兄ちゃん…。お願い…ある…の…」
あたしは頭の上の棚に目を向けた。
「あれ…場所…ちゃん…と書いてある…から…。そこに…届け…て…」
「…これか?」
喜一お兄ちゃんはあたしの目的の物を手に取る。あたしは無言で頷いた。
「…あたしが…この世から…いなく…なったら…。蓮に……枕の下の…」
喜一お兄ちゃんさあたしの頭と枕を少し持ち上げた。
「……わかった。それが夢月の願いなら…俺が絶対に叶えてやるから…」
「あり…と……」
笑ってみる。それで感謝が伝わればいいな…。
「喜一…お兄ちゃん…も豊…んも…大好き…」
「…っ…あぁ。俺も…夢月が大好きだ!大事な…妹だ!」
喜一お兄ちゃんは涙を流さないように、無理に笑っていた。声を震わせて、涙を目に溜めて…。
「だから任せとけ!今から行ってくるから!」
喜一お兄ちゃんは笑顔を浮かべて病室を飛び出した。