僕の愛した生徒
僕と奈菜が付き合うようになって一週間が過ぎようとしていた。
奈菜は校内で僕を見つけるたび、ほんのり頬を染めて、恥ずかしそうに小さく微笑んだ。
初々しいその姿が可愛い。
純粋さが見てとれる一瞬。
僕はそんな奈菜を見ると、つい構いたくなって、すれ違いざまに奈菜を呼び止めた。
「藤岡」
「何ですか?」
屈託ない奈菜の顔が僕を見据える。
そして僕はそんな奈菜の耳元で囁いた。
「好きだよ」
見る見る赤くなる奈菜の顔。
予想通りの反応に僕の口元が思わず緩む。
僕はそれを隠すように、固まって動かない奈菜をそのままに、足早にその場を離れ
そして、想像する。
また奈菜に叱られるんだろうな。
玲香と同じ顔して。