僕の愛した生徒
僕は笑っている奈菜に言おうとする。
「でもバレたら犯罪の前に…」
ふと奈菜を見ると
奈菜の頬に奈菜の長い睫が影を作り出していた。
僕は続きの言葉を言えず飲み込む。
「奈菜?」
僕が呼ぶと奈菜は寂しそうな目で
「もし、バレたら先生は先生でいられなくなっちゃうね」
と呟き小さく微笑んだ。
その顔が何だか儚げで
脆く壊れてしまいそうで…
僕は奈菜を強く抱きしめた。
奈菜の前では触れてはならない言葉があったんだ…
感性の強い奈菜は、
嬉しい事を嬉しいと素直に受け入れる分、悲しみはきっと人一倍大きく感じる。
奈菜は現状をきちんと理解しているから
僕たちが先生と生徒である事実、
それが許されない恋で
決して人には話せない関係であることは
奈菜を切なくさせる。
僕にはどうしようもない。
だから…
僕は何度も何度も言葉にする。
「奈菜、愛しているよ」
奈菜は僕の腕の中で何度も頷いた。
「僕が奈菜を幸せにするから」
僕は見上げる奈菜にそう言って髪を撫でた。