ありのまま、愛すること。
ところで、この屋久島の森のなかで寝転び、木漏れ日を見上げながら、流れる川の水音を聞いて、私は確信したことがあります。

この自然がなくなっては、人間が人間として地球に存在する理由さえなくなってしまう、そう強く思ったのです。

それは森林破壊の問題にとどまりません。

オゾン層の破壊、地球温暖化、酸性雨、砂漠化の進行、野生生物の種の絶滅、海洋汚染、有害廃棄物の越境移動……。地球はいま、危機に瀕しています。

一人ひとりが変わらなければ、明日の地球は変わらないのです。

倉本聰さんの『ニングル』という小説を知っていますか。

私はこの物語が大好きで、創業時、社員への誕生日プレゼントにさせてもらったものでした。

北海道に住んでいて、身長15センチ、寿命200歳以上の小人たちの物語。

ここに、その「ニングル」の言葉を紹介させていただきます。

「わしらは200年以上生きとる。
森も同じだ。森は様々な生涯を歩いてきたんだ。
誕生と死、別れと出会い、愛と悲しみ、感動と絶望、希望と喪失……。
樹達はそれを受け止め、200年、300年、黙々と生き、森を作ってきた。
それを、人間は、わずか10分で切り倒す。
300年の生をたった10分で奪う。
樹は黙って耐えておる。
樹は無口で、口下手だ。しかし、心はある。
このことをどうお考えか……」


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