黒き藥師と久遠の花【完】
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
熱と息苦しさに耐えるみなもに構わず、キリは半ば小走りに廊下を進んでいく。
体が揺れる度に鈍痛は広がり、胸奥から吐き気も溢れ出てくる。
文句の一つでも言いたかったが、余計な動きを見せて連中に疑われては困る。
みなもが唇を硬くして口を閉ざしていると、扉の前で一人だけ立っている見張りの前でキリは立ち止まった。
「どうしたんだよキリ。もう仕込みは終わったのか?」
ヘラヘラと笑う見張りへ、キリは「まだだ」と首を振る。
「死んででもオレから逃げようとして、毒を飲みやがった。すぐに吐かせて、手持ちの解毒剤を飲ませたから死なねぇだろうが――」
僅かに俯いてキリがみなもを覗くと、それにつられて見張りも覗き込んでくる。
人の顔を見て、見張りは一瞬痛ましそうに表情を歪めた。
「スゲェな、首まで真っ赤だ……見ているこっちが苦しくなってくる」
「ああ、興ざめだぜ。もう半刻経てば回復するだろうが、また飲まれたら困る。だから、もっと自分の立場を分かってもらおうと思ってな、クリスタの前でコイツの躾を続けたいんだ」
上気するみなもの頬を、キリは指でなぞった。
「今度死のうとすればどうなるか……忘れないよう、ずっとコイツの視界にクリスタを入れさせてやる」
熱と息苦しさに耐えるみなもに構わず、キリは半ば小走りに廊下を進んでいく。
体が揺れる度に鈍痛は広がり、胸奥から吐き気も溢れ出てくる。
文句の一つでも言いたかったが、余計な動きを見せて連中に疑われては困る。
みなもが唇を硬くして口を閉ざしていると、扉の前で一人だけ立っている見張りの前でキリは立ち止まった。
「どうしたんだよキリ。もう仕込みは終わったのか?」
ヘラヘラと笑う見張りへ、キリは「まだだ」と首を振る。
「死んででもオレから逃げようとして、毒を飲みやがった。すぐに吐かせて、手持ちの解毒剤を飲ませたから死なねぇだろうが――」
僅かに俯いてキリがみなもを覗くと、それにつられて見張りも覗き込んでくる。
人の顔を見て、見張りは一瞬痛ましそうに表情を歪めた。
「スゲェな、首まで真っ赤だ……見ているこっちが苦しくなってくる」
「ああ、興ざめだぜ。もう半刻経てば回復するだろうが、また飲まれたら困る。だから、もっと自分の立場を分かってもらおうと思ってな、クリスタの前でコイツの躾を続けたいんだ」
上気するみなもの頬を、キリは指でなぞった。
「今度死のうとすればどうなるか……忘れないよう、ずっとコイツの視界にクリスタを入れさせてやる」