黒き藥師と久遠の花【完】
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
――時は少し前にさかのぼる。
レオニードとボリスは市場から全力で走り続け、夕日が山へ沈み切る前に裏町の入り口へ辿り着いた。
どちらともなく立ち止まると、各々に大きく吸い込んで息を整える。
心臓が絶え間なく胸を震わせ、耳元でやかましい音を響かせ続ける。鼓動に合わせて、耳先も熱く脈打っていた。
まだ整わない息のまま、ボリスが口を開いた。
「退役してから少し日が経ってるけど、全然体が鈍っていないね。頼もしいな」
今の生活を始めてからも、朝夕の鍛錬は欠かしていない。
それに雨が振らなければ、半日は森の中を歩き回って薬草を採取している。足腰の良い鍛錬になっていた。
レオニードは額に滲んだ汗を拭い、ボリスの目を見た。
「俺はまだ走れるが……ボリスは大丈夫なのか?」
少なくとも一ヶ月以上、ボリスは毒に倒れて身動きが取れなくなっていた。
みなもと今の生活を送るためにここを離れる直前、ボリスは普段の生活ができるほどに回復していた。
だが、毒にやられる前の体を取り戻すには、まだ時間が必要だろうとみなもは言っていた。
実際、今も一緒に走ってみて、動きが鈍っているように感じられた。
無理をしているのは目に見えて明らかだった。
――時は少し前にさかのぼる。
レオニードとボリスは市場から全力で走り続け、夕日が山へ沈み切る前に裏町の入り口へ辿り着いた。
どちらともなく立ち止まると、各々に大きく吸い込んで息を整える。
心臓が絶え間なく胸を震わせ、耳元でやかましい音を響かせ続ける。鼓動に合わせて、耳先も熱く脈打っていた。
まだ整わない息のまま、ボリスが口を開いた。
「退役してから少し日が経ってるけど、全然体が鈍っていないね。頼もしいな」
今の生活を始めてからも、朝夕の鍛錬は欠かしていない。
それに雨が振らなければ、半日は森の中を歩き回って薬草を採取している。足腰の良い鍛錬になっていた。
レオニードは額に滲んだ汗を拭い、ボリスの目を見た。
「俺はまだ走れるが……ボリスは大丈夫なのか?」
少なくとも一ヶ月以上、ボリスは毒に倒れて身動きが取れなくなっていた。
みなもと今の生活を送るためにここを離れる直前、ボリスは普段の生活ができるほどに回復していた。
だが、毒にやられる前の体を取り戻すには、まだ時間が必要だろうとみなもは言っていた。
実際、今も一緒に走ってみて、動きが鈍っているように感じられた。
無理をしているのは目に見えて明らかだった。