黒き藥師と久遠の花【完】
ボリスはかすかに口端を上げ、苦笑を浮かべた。
「かなりキツいけれど、まだ走れるよ。二人を早く助けに行かなくちゃ――」
そう言うなり、ボリスがおもむろに走り出す。
レオニードの足もそれにつられ、ボリスの隣に並んで走った。
隣を見やると、ボリスが眉間に深くシワを寄せ、苦しげに目を細めている。
しかし、その眼差しは力強く、いつもの朗らかで人を和ませる穏やかな空気は消えていた。
ぽつり、とボリスが呟いた。
「前にクリスタと約束したんだ。何があっても必ず守るって……」
レオニードの脳裏に、昔の懐かしい記憶が甦る。
父が退役する前まで住んでいた家が近所ということもあり、クリスタとはよく顔を合わせていた。
そして毎日のように家に来ていたボリスと三人で遊ぶ機会が多かった。
自分とボリスが兵士になり、住処をゾーヤの家の隣に移してから会う回数は減ったものの、クリスタがこまめに夕飯などを差し入れてくれていた。
いつも家に来てくれた時は彼女と一緒に夕食を口にし、楽しく談笑していた。
――クリスタとボリスが喋り、自分は聞き役に回ることがほとんどだったが。
「かなりキツいけれど、まだ走れるよ。二人を早く助けに行かなくちゃ――」
そう言うなり、ボリスがおもむろに走り出す。
レオニードの足もそれにつられ、ボリスの隣に並んで走った。
隣を見やると、ボリスが眉間に深くシワを寄せ、苦しげに目を細めている。
しかし、その眼差しは力強く、いつもの朗らかで人を和ませる穏やかな空気は消えていた。
ぽつり、とボリスが呟いた。
「前にクリスタと約束したんだ。何があっても必ず守るって……」
レオニードの脳裏に、昔の懐かしい記憶が甦る。
父が退役する前まで住んでいた家が近所ということもあり、クリスタとはよく顔を合わせていた。
そして毎日のように家に来ていたボリスと三人で遊ぶ機会が多かった。
自分とボリスが兵士になり、住処をゾーヤの家の隣に移してから会う回数は減ったものの、クリスタがこまめに夕飯などを差し入れてくれていた。
いつも家に来てくれた時は彼女と一緒に夕食を口にし、楽しく談笑していた。
――クリスタとボリスが喋り、自分は聞き役に回ることがほとんどだったが。