たとえばセカイが沈むとき
ついてみると、悪魔みたいなヒトが住むにしては、なんら変わったところのない建物だというのが良くわかった。
呼び鈴を押すと、勝手に扉が開いた。
遠隔操作で開くのかもしれないが、来るのを待たれてたみたいで、なんだか薄気味悪い。だが、過去へ戻る話の真偽を確かめるまでは、踵を返す気にならないのも事実だ。
中に入ると、真っ直ぐ前と左側に扉があり、左側の壁のライトが自動で点灯した。どうやらそちらへ来いという事らしい。カメラがあるのか、来客が来たらそうするようになっているのかまでは、わからないが。
姿形どころか、声も聞こえない主の存在に神経を尖らせつつ、部屋の扉の前に立った。
自動で開く事はなかったが、ノックのために手を持ち上げた瞬間。誰何もなしにいきなり、入室を促す声が聞こえた。