たとえばセカイが沈むとき


 勝手に知らない人の家へ上がり込むのを嫌がるチサトを宥めすかしつつ、タイムマシンへ乗せる。

 一人乗り用なのか、だいぶ狭くはあるけれど、強引に二人乗り込んだ。

 日付設定は、僕の世界よりも少し後。果たして意味があるかはわからないが、やらないよりはマシだと思って、後にした。

 最初のフライトで既にひとつの平行世界へ入ってしまった僕は、きっと一番最初の世界には行けないだろう。それでも、これ以上違う世界には行かないように。単なる気持ちの問題だが。

 きょろきょろとタイムマシンの中を見回すチサトの手を離さずに、僕は発進ボタンを押した。


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