もう会えない君。


「あっ!隼くーん!」
…こちらにも猛アピールをする女子生徒が居た。


隼の周りには一気に人盛りが出来てしまい、私は不安でいっぱいになった。


「隼くん、夏休み遊ぼ☆」
ある一人の女の子が一瞬だけ私をチラっと見てすぐ隼に視線を戻し、ハツラツな声で言った。


すると他の女子生徒も口を開く。
夏休みに会いたいという要求をする女の子。
一緒に遊びたいと可愛らしく言う女の子達。


目の前で彼氏が女の子から誘いを受けているのを見ると嫉妬心が生まれる。


一応、彼女は私なのに…。
飛び交う声に耳を塞ぎたくなる。


教室を出たい。
とにかく教室を出たい。


「りーんー?」
名前を呼ばれて顔を上げると悠が私に笑顔を見せた。


なんで笑ってるんだろう?
内心でそう思っていると悠が隼の方に視線を向けた。
だから私も隼の方に視線を向けた。


――悠の笑顔の意味が分かったのはすぐだった。
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