もう会えない君。


もし、私が否定していれば、私と隼の間に壁が出来る事はなかった?
…だとしたら由香里さんの策略にまんまと乗せられたわけだ。


気付いた時には既に手遅れ。
私はいつだって手遅れだ…。


携帯を手にして開いた時、飛び込んできた文字。


[不在着信:9件]
[新着メール:5件]


見なくても分かる。
これは全部、隼からのだという事。


なんで…
私は逃げたんだろう?


どうして否定する事を拒んだのだろう?


私は携帯を持って立ち上がった。


喩え、出てくれなくても…
喩え、嫌われていたとしても…
それでもいい。私は今、君に会いたい。


身勝手な私を許して。
素直になれない私を許して。
馬鹿な私を…隼は許してくれますか?


手遅れだったとしても何が大切なのかは考えなくても分かる。


それは幼い頃からしつけられてきた一種のルール。
悪い事をしたら謝る。
喩え、相手が許してくれなかったとしても謝る。


だから隼…
今から君の元へ行こうと思う。
< 182 / 321 >

この作品をシェア

pagetop