もう会えない君。
今日は夏休み最後の日。
たっぷり睡眠した私の目覚めは最高に良かった。
カーテンを全開にして日光を部屋に取り入れると共に、ベランダを開けて酸素を胸いっぱいに含んで深呼吸をした。
「今日も良い日になりそう!」
空に向かって朝一番の声を出した私はクローゼットの中から裾がフリルのミニワンピースを取り出して白いベルトと二ーハイソックスで服のバランスを整えながら鏡と睨めっこ。
服装を整え終わった後は顔を洗い、歯を磨いて髪をセットした。
時間が経つにつれて準備も整っていき…――――ついにこの時間が来た!
部屋のインターホンが鳴る。
私は鞄を手に取り、玄関へと小走りで向かう。
扉を開けると…君が居た。
私に笑顔を向けてくれる君が居た。
今日は約束の日。
近所で祭りがある。
最後の方に締めとして花火が打ち上げられる。
一回きりではなく、何度も。
言葉で表すなら花火大会という方がほぼ等しい。
この最後の締めに開催される花火大会には一つの説がある。
――ねえ知ってる?
花火大会を好きな人と見ると“永遠”を誓えるんだって。
クラスの女の子が話しているのを聞いた事があった。
もしも本当に誓えるなら…
そんなの単なる迷信に過ぎないのだろうけど…
心の何処かで信じ切っている自分が居た。