もう会えない君。


「隼に…」

「えっ?」

「…会いたい」

抑えていた感情が溢れ出すと共に涙が頬を濡らした。


もう遅いの?
隼に会う事は出来ないの?


「凛ちゃん、」
言い辛そうな顔をしながら皐は言葉を綴った。


「隼には…――――」


綴られた言葉は、あまりにも衝撃的過ぎて…。
運命とは残酷で私と隼を引き離した。


会えると思ってた。
会えると信じてた。


――逢えると思いたかった。


だけど…
私は隼に会う事が出来ないんだ。


だって隼は…――――隣の部屋には居ないから。


大好きだった人はもう私の近くには居てくれなくて、大好きな人は私なんかの為に…自分を傷付けた。


―隼には会えないよ。


隼は由香里の家の近くに引っ越した。
それも由香里からの指示だったから。


どうしても守りたかったんだと思う。


自分にとって大切な人を、隼は守りたかったんだと思う。


他の誰でもない、凛ちゃんを…。


皐、私はどうすればいいの?
二度と会えないの?
由香里さんの家は何処にあるの?


聞きたい事は沢山あるのに言葉に出来ない。


隼…
私達は遠回りをし過ぎていたね。
< 239 / 321 >

この作品をシェア

pagetop