もう会えない君。
「んー…あっ!」
悠は思い出した、とでも言うように声を上げた。
そして綴られた言葉に私は悠の手を引いて走り出した。
…嘘。
なんで、神様はこんな事をするの?
間違いであってほしい。
出来る事なら、見間違いであってほしい。
だって…。
あの方向は…――――“病院に行く通り”なのだから。
今、あの病院には隼と皐が居る。
生気を失った人間は何をするかも、何を考えているのかも分からない。
どうしよう…。
隼が今、丁度、病院を出ていたら…。
急いで携帯を取り出した私はアドレス帳を開き、隼に電話を掛けた。
<プ…――プルルル…>
まだ?
何か、あったの?
ねえ隼…。
お願いだから電話に出て……。
まだ病院に居るって言って。
まだ外には出てないって、まだ帰らないって言って…。
隼…。
電話に出て。
<プルルル…――ッ>
出た!