もう会えない君。


「隼…電話出ない」

「マナーモードだから気付かないだけだろ」

「違う。出れないんだよ」

「まあ病院だからな」

「そういう意味じゃなくて!」

「つか、なんで来た道戻ってんの?」

「分からないけど…」

「けど?」

「嫌な予感がするの」

「へっ?」

「変な胸騒ぎがする」

「………」

「さっきのが本当に由香里さんなら尚更」

「……それって」

「悠も気付いた?」

「なんとなく」

「由香里さんが病院に向かう理由…」


――それはただ一つ。
目的は私を探し出す為だ。


もしも、隼と由香里さんが鉢合わせ状態になったら…。


そう考えるだけで不安はより一層膨らんでしまう。
悪い方にしか、考える事が出来なくなってくる。


どうしたらいいの?
隼に何かあったら…どうしたらいいの……。
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