もう会えない君。
「はーやーとー!」
向かい側の歩道に居る、由香里さんは笑顔で隼に手を振る。
…まるでさっきの怒りが嘘のように。
喜怒哀楽が激しくなったのかもしれない。
「どうする?」
悠は隼に視線を向ける。
だけど隼は首を左右に振るだけで由香里さんの方は一切、見ない。
そして隼は私にこう言った。
「凛、俺は凛が好きだからな」
優しく頭を撫でる手を止めて微笑んだ隼は切なそうな目をしていた。
なんで…?
どうして、そんなに切なそうな目で見るの?
隼の手が私の頬を包み込み、隼は優しく微笑みながら、
「辛くなったら、空を見ろ。空は何処までも繋がってるから」
そう言い残して立ち上がると悠に視線を向けた。
「悠、俺は何が何でも凛を守るって決めた」
「うん?」
「だから…凛の事、宜しくな?」
「おい、何言って…――――」
「隼ーっ♪」
悠の言葉は遮られた。
向かい側に居る、由香里さんによって。
視線は忽ち、由香里さんへと集中した。