もう会えない君。


そして…。
運命のカウントダウンは……既に始まっていたんだ…。


「由香里っ!」
隼が歩道に飛び出した時、丁度、対向車線側から一台のトラックが走って来ていた。
由香里さんが足をフラつかせた為、道路側に出てしまった。
すると眩しい光が由香里さんを照らした…それを見た隼は走り出した。


転んだまま、起き上がらない由香里さんの元へと…。


「隼っ!!」
咄嗟に叫んだ私の声はトラックのクラクションによって掻き消された。


眩しい光が二人を照らす。
…隼は起き上がらない由香里さんを無理矢理、起こして歩道側に突き飛ばした。


<ドン…――――ッ>


鈍い音が聞こえた。
それと急ブレーキを掛ける音も。


何が起こってるの…?


どうして時が止まってしまったかのように誰も動かないの?
信号機は動いているのに、どうして車は走らないの?


人が集まってる。
車から降りてくる人も居る。


そして聞こえた。


「誰か、救急車呼べっ!!」
必死に助けを求める人の声。
既に悠の姿は隣にはなかった。


私は恐る恐る、立ち上がり、人盛りの方へと歩き出した。
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