もう会えない君。
…ねえ嘘だよね?
人盛りが出来ていたのは、数分前まで会話してた変わり果てた隼の姿がそこにあったからで。
血まみれの隼に野次馬達が集結したってわけだ…。
なんで、そんな興味津々に見れるの?誰一人として泣かない。
可哀想だ、哀れだ、急に飛び出した、この子が悪い…。
何も知らない野次馬達は虚言を広げる。
可哀想?哀れ?
そんな言葉、止して。
隼は悪くない。
…隼は由香里さんを庇って……自分が身代わりになったんだ。
「はや…と」
震える手でうつ伏せのままの隼を抱き締めた。
出血は何処から出てるの?
頭の何処から出てきているの?
ドクドクと生温い隼の血液が流れ出る。
「隼っ!隼ってば!!」
名前を呼んでも返事はない。
届かない。
どんなに叫んでも隼に届かない。
隼の血液が私の制服に染みを付けてゆく…。
何処から溢れ出しているのかも分からない隼の血は道路上を赤く染めた。
ねえ神様…。
隼を助けてよ……。